【観劇レポ】舞台「成瀬は天下を取りにいく」感想|山下美月主演で蘇る大津の青春、初舞台鑑賞で号泣した話

戯言

この記事のポイント

  • ・本屋大賞受賞作「成瀬は天下を取りにいく」の初舞台化を東京・サンシャイン劇場で観劇したレポート
  • ・主演・成瀬あかり役は山下美月(乃木坂46卒業後初の単独主演舞台)、島崎みゆき役は藤野涼子
  • ・舞台は原作『成瀬は天下を取りにいく』と続編『成瀬は信じた道をいく』を再構成したオリジナル脚本(脚本・演出:G2)
  • ・開演前セットから漂う大津・膳所(ぜぜ)愛、第一部の青春パートと第二部の感情爆発パートの対比が見どころ
  • ・舞台ならではの熱量に触れて「舞台鑑賞、ハマりそう」と思った初心者目線の感想も掲載
  • ・東京公演のあとは京都・南座(7/16〜26)、滋賀・大津市民会館(7/28・29)と続くので、これから観る人にも参考になる内容

はじめに:舞台鑑賞ほぼ初心者が「成瀬」を観てきた

正直に言うと、演劇やミュージカルの類をきちんと劇場で観るのはほぼ初めてでした。それでも今回だけは絶対に行きたかった。理由はシンプルで、あの「成瀬は天下を取りにいく」が舞台だから。

滋賀県大津市を舞台に、我が道を突き進む主人公・成瀬あかりを描いた本作は、2024年本屋大賞をはじめ数々の文学賞を受賞した令和最強クラスの青春小説。今回の舞台版は、原作と続編『成瀬は信じた道をいく』の内容を合わせて構成されたオリジナル脚本で、成瀬あかり役は山下美月さん、幼馴染の島崎みゆき役は藤野涼子さんが演じています。東京・サンシャイン劇場を皮切りに、京都・南座、そして物語の舞台そのものである滋賀・大津市民会館へと続く全国公演です。

結論から言うと、入場した瞬間からもう感情が動きっぱなしでした。その様子を、なるべく当日の高揚感そのままにレポートしていきます。

舞台「成瀬は天下を取りにいく」基本情報

項目内容
原作宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』(新潮文庫)/『成瀬は信じた道をいく』(新潮社)
脚本・演出G2
成瀬あかり役山下美月
島崎みゆき役藤野涼子
主なキャスト山崎静代(南海キャンディーズ)、ISSEI、天宮良、田畑智子 ほか
東京公演2026年7月4日(土)〜12日(日)/サンシャイン劇場
京都公演2026年7月16日(木)〜26日(日)/南座
滋賀公演2026年7月28日(火)・29日(水)/大津市民会館
上演時間約2時間30分(休憩20分を含む、2幕構成)

こうして見ると、原作の舞台である大津での千秋楽というのがまた粋な締めくくり方だなと感じます。

開演前から始まっている「成瀬体験」

サンシャイン劇場 入場ロビー

劇場に入って真っ先にテンションが上がったのが、ロビーの装飾。「成瀬は天下を取りにいく」の巨大な壁面ビジュアルの前で成瀬あかりのイラストがお出迎えしてくれます。西武ライオンズのユニフォームを着た構図がもうすでに”成瀬”そのもの。

そして客席に入ってからのセットにも仕掛けがありました。

開演前のセット:西武、フレンドマート、ミシガン

「フレンドマート」「SEIBU」「びっくりドンキー」、そして大津の湖上観光船「ミシガン」まで、大津・膳所の風景がミニチュアで舞台上に再現されていて、原作を読みながら思い描いていた景色がそのまま目の前に立ち上がっていました。これは大津在住・出身の方はもちろん、原作ファンなら誰でもテンションが上がる仕掛けだと思います。この時点で「もう来てよかった」と思いました。

第一部:成瀬あかり史を辿る、あの”夏”のシーンから

第一部は成瀬あかりの半生を振り返る構成で、西武大津店に捧げた夏のエピソードから幕が開きます。原作を象徴するあのシーンが冒頭に置かれているのは、初めて観る人にも「これが成瀬なんだ」と一発で伝わる、うまい導入だったと思います。

最初は舞台特有のやや大げさな表現に「舞台っぽいな」と思う部分もありましたが、物語が進むにつれてどんどん馴染んでいきました。山下美月さん演じる成瀬、藤野涼子さん演じる島崎、どちらも自分がイメージしていた成瀬あかり・島崎みゆき像にかなり近く、二人の掛け合いのニュアンスがくっきり伝わってきます。

中でも痺れたのが漫才のシーン。あかりと島崎のコンビ感がバチッと決まっていて、このシーンだけでも観る価値がありました。あとISSEIさん演じる西浦航一郎が、想像していたよりずっと”いい男”すぎて驚いたのも正直な感想です。

第二部:失踪、そして人々の感情が一気に噴き出す群像劇

第二部は成瀬の失踪シーンから始まります。第一部の手作り感満載の、ほのぼのとした空気から一転、登場人物たちの心の叫びが次々と注ぎ込まれる展開に圧倒されました。

  • 観光大使の篠原
  • クレーマーの呉間言実(山崎静代)
  • 成瀬を取り巻く周囲の人々

それぞれの感情が畳みかけるように描かれ、大津観光大使が特別賞を受賞するシーンでは、思わず「よかったね」という気持ちがこみ上げてうるっとしてしまいました。そして大晦日、成瀬と島崎が再会するラストシーンの温かさ。派手さはないのに、じんわり効いてくる終わり方でした。

カーテンコールで、主演の山下美月さんが胸に手を当てて深々とお辞儀をする姿を見て、もう完全に感極まってしまいました。「舞台っていいな」と、初心者ながらに素直に思えた瞬間です。

「ドラマ・映画」と「舞台」の違いを肌で感じた

映像作品とはまったく違う体験でした。ユニフォーム姿の成瀬も、島崎も、麦わら帽子をかぶった観光大使姿の成瀬も、とにかく綺麗で素敵で画にはできない”生”の説得力があります。あかりのけん玉失敗シーンすら、なんだか愛おしく見えてしまうのが不思議なところ。

人間ドラマは、ライブでこそ本領を発揮するのかもしれません。役者の表情の揺れ、声の震え、その場の空気の圧力——ドラマや映画では感じきれない部分を、肌で受け取れた最高の時間でした。新しい成瀬あかり史をこの目で観られたことに感謝しつつ、「これから頑張ろう」という活力までもらった気がします。舞台鑑賞、これから他の作品もいろいろ観てみたくなりました。

会場限定グッズはクリアファイルを購入

成瀬は天下を取りにいく グッズ クリアファイル

物販ではクリアファイルを購入。キャスト陣のビジュアルに加えて、西武大津店、ミシガン、平和堂、比叡山や琵琶湖といった大津のランドマークがぎっしり詰め込まれたデザインで、観劇の記念にぴったりの一枚でした。

よくある質問(FAQ)

Q. 舞台「成瀬は天下を取りにいく」は原作を読んでいなくても楽しめますか? A. 楽しめると感じました。第一部で成瀬あかりの人物像がしっかり描かれるので、初見でも物語に入っていきやすい構成になっています。ただし原作既読の方が「あのシーンが来た」という感動は確実に増します。

Q. 上演時間はどれくらいですか? A. 休憩20分を含めて約2時間30分、第1幕・第2幕の2部構成です。

Q. どこの公演を観るのがおすすめですか? A. 東京・サンシャイン劇場、京都・南座に続き、物語の舞台そのものである滋賀・大津市民会館での公演が7月28日・29日にあります。「聖地」で観るという体験を求めるなら大津公演も魅力的です。

Q. グッズはどこで買えますか? A. 会場ロビーの物販ブースで購入可能です。今回はクリアファイルを購入しましたが、他にも複数のグッズが展開されていました。

まとめ:初めての舞台鑑賞が「成瀬」で本当によかった

原作ファンとして、そして舞台鑑賞ほぼ初心者として観た「成瀬は天下を取りにいく」は、期待をきちんと超えてくる作品でした。開演前のセットから物語の世界に引き込まれ、第一部の青春の眩しさ、第二部の感情の奔流、そしてラストの温かい余韻まで、忘れがたい時間になりました。

大津・膳所という土地への愛着がにじむ舞台美術、山下美月さん・藤野涼子さんをはじめとするキャスト陣の熱演。これから京都・南座、滋賀・大津市民会館と公演は続きます。気になっている方は、ぜひ劇場でこの熱量を直接感じてみてください。

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