大雨と落雷の影響で、キックオフは約1時間遅延。水を含んだピッチという難しい条件のなか行われた2026/27シーズン開幕戦は、最後まで諦めなかった栃木SCが、田端琉聖の同点弾と永井大士のプロ初ゴールでツエーゲン金沢を3-2で下した。 雷雨に揺れたカンセキスタジアムとちぎでの観戦レポートです。
試合結果:栃木SC 3-2 ツエーゲン金沢 世瀬啓人、田端琉聖、永井大士の得点で、栃木SCが開幕戦を劇的な逆転勝利で飾った。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 2026/27 明治安田J3リーグ 第1節 |
| 対戦 | 栃木SC 3-2 ツエーゲン金沢 |
| 開催日 | 2026年8月9日(日) |
| 会場 | カンセキスタジアムとちぎ |
| キックオフ | 20:00(雷雨の影響で当初予定から約1時間遅延) |
| 得点者 | 栃木SC:世瀬啓人(11分)、田端琉聖(81分)、永井大士(90+5分)/金沢:ブワニカ啓太(5分)、榊原杏太(46分) |
| 入場者数 | 8,224人 |
雷雨、避難指示、開幕戦のキックオフはまさかの1時間遅れ
いよいよ2026/27シーズンが開幕。今季最初の一戦、栃木SC対ツエーゲン金沢を観るため、カンセキスタジアムとちぎへ向かった。
ところが、試合開始前からすでに大雨。雷も光っていて、どうにも不穏な空気だった。いつものように最寄りの西川田駅から歩いていく道中もひどい降りで、あっという間にびしょ濡れ。スタジアム方面から引き返してくるサポーターの姿もちらほら見えた。キッチンカーも営業どころではない様子で、開幕戦らしい高揚感が感じ、、、られない。
スタジアムに着くと、コンコースはすでに人だかり。席には着かず、避難するようにとの指示が出ていたようだ。長年Jリーグを観に通っているが、避難指示を経験したのはこれが初めてだった。最初にキックオフを30分遅らせるアナウンスがあり、そこからさらに30分延びて20時キックオフ予定との案内。結局、実際の試合開始は20時となった。
「本当にできるのか」という不安もよぎったが、雷がひどい以上は仕方がない。ただ気長に待つほかなかった。それにしても、栃木SCは開幕戦になると天候に恵まれない。昨シーズンも雪で延期になっているだけに、またも自然条件に翻弄されるスタートになってしまった。

避難解除後、雨のスタジアムに戻ってきたサポーターの熱量
本来のキックオフ時刻を過ぎたころ、ようやく避難は解除された。雨は少しずつ弱まり、スタジアムは試合開始に向けて徐々に熱を取り戻していく。濡れたスタンドからも、両チームのサポーターは変わらず大きな声援を送り続けていた。
ピッチコンディションが厳しいなかでも、声と手拍子でチームを後押しする両サポーター。ようやく迎えたキックオフには、勝敗以上に「無事に開幕戦が始まった」という感慨深さがあった。こうして、期せずして日本で一番遅い開幕戦が始まる。




水たまりでボールが止まる。普段のサッカーを許さない90分
開始早々、ロングボールがピッチ上でぴたりと止まってしまう。おいおい、これは先が思いやられるなと感じた。選手が走るたびに水しぶきが上がり、ボールは伸びたかと思えば急に止まる。そのため両チームとも、自然とロングボール主体の展開に傾いていった。
細かなパスワークや技術を発揮するには厳しいコンディションだ。そのぶん問われるのは、セカンドボールを拾う強さ、空中戦を制する強さ、そして一つひとつの局面で身体を張り続ける粘り強さ。前半から、フィジカルバトルの比重がはっきりと高い試合になっていった。
金沢ブワニカの先制弾、栃木・世瀬のミドルで応戦
そんな展開のなか、先にスコアを動かしたのは金沢だった。セットプレーの流れから鈴木がサイドから長いクロスを送り、それにブワニカが豪快に頭で合わせて先制。ゴール後にはブワニカが滑るようなパフォーマンスを見せ、アウェイ側を沸かせた。
栃木SCもすぐさま反撃に出る。ゴール前の密集から名願が落とし、そこに世瀬がミドルシュートを叩き込んで同点に追いついた。濡れて重くなったボールをものともしない、狙いすました一撃だった。
その後も一進一退の攻防が続き、前半は1-1で終了。ボールが思うようにつながらない分、局面ごとのフィジカルバトルが如実に増えていく。どちらが競り合いで上回るか、そしてその消耗を後半にどう跳ね返すかが、勝敗を分ける鍵になりそうな展開だった。
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写真:雨天でもチームを後押しし続けた栃木SCサポーター。この日、試合を動かしたもう一つの力だった。
金沢が勝ち越し。左サイドの崩しから榊原が決める
後半開始直後、金沢が勝ち越しゴールを奪う。比較的ピッチ状態がましに見えた左サイドを鈴木と大澤の二人で突破し、中で待ち構えていた新加入の榊原がきっちり仕留めた。
ここからはやや金沢ペースで試合が進む。ブワニカが前線で競り合いの起点になり続けたことで、金沢は難しいピッチコンディションのなかでも前へ進む足場をつくれていた。
近藤のロングスローが呼び込んだ流れ。田端が同点、永井が逆転
潮目が変わったきっかけは、近藤のロングスローだった。ゴール前まで直接届くボールが続くことで、栃木SCに得点の匂いが漂い始める。
80分、コーナーキックのクリアボールが真上に上がる。そこへ田端が反応し、こぼれ球を押し込んで同点に追いつく。 スタジアムには大きな歓声が響き渡った。
終盤には金沢にも決定機が訪れる。ゴールキーパーからのロングボールが嶋田、パトリックへとつながり、ビッグチャンスに発展。キーパーとの1対1から放たれたシュートには、最後まで諦めずに追いかけた櫻井の寄せも重なった。金沢はベンチから飛び出した選手も膝をつき、頭を抱えていた。振り返ると、この局面こそが勝負の分かれ目だったように思う。
そしてアディショナルタイム。コーナーキックから鈴木輪太朗が競ったボールを田端がシュートするも、一度はブロックされる。しかし、そのこぼれ球を永井が押し込み、劇的な逆転弾が決まった。公式記録には90+5分、永井大士の決勝ゴールと刻まれている。1
スタジアムは大歓喜に包まれた。まさに、勝利への執念が実った瞬間だった。いろいろあったが、スタジアムに来て本当によかった。生でこの瞬間を観られてよかった。栃木SCが3-2で勝利を収めた。

試合総括:完成度では測れない、執念が勝敗を分けた開幕戦
ピッチコンディションを考えれば、お互いにとって非常に難しい90分だった。それでも両チームとも、最後まで素晴らしいファイトを見せてくれた。
金沢で目立ったのはFWブワニカだ。ロングボールの競り合いで起点になり続けたことで、金沢は主導権を握る時間をつくれていた。先制ゴールも見事な一撃だった。前線の連動という点でも、この日は栃木SCを上回る場面が多かったように映る。
一方、栃木SCのFW近藤も、高さと機動力を兼ね備えたオールラウンダーだ。ただこの試合では、前線でボールを受ける回数が思ったより少なく、味方との距離が遠くなって孤立する時間帯もあった。栃木SCは前からの守備には強さを見せた反面、サイドから運ばれた際にはやや脆さも感じさせた。
それでも、パトリックの決定機で最後まで諦めずに寄せた櫻井のプレーは、心理面でも金沢に大きく響いたのではないか。その直後、コーナーキックから生まれた逆転弾は、ゴール前でのフィジカル、メンタル、そして執念で栃木が上回った結果だと感じる。
田端と永井、ルーキー二人がそろって結果を残したことは、栃木SCにとって非常に大きなプラスになるはずだ。山口太陽や鈴木輪太朗の高さも、これから武器になっていきそうで魅力的に映った。
もちろん、この一戦だけで両チームの完成度や強化の進度を測ることはできない。戦術面でもこの試合限定的なところも大きかったと思う。技術を持ち味とする選手にとっても、持ち味を存分に発揮しにくい一日だっただろう。それでも、力のある両チーム、これからには注目していきたい。
なにはともあれ、観に来て本当によかった。あのピッチでよく5点も入ったな、とも思う。スポーツ観戦はやっぱりライブに限る。 雷雨の開幕戦は、そのことを改めて教えてくれた。
よくある質問
Q. 栃木SC対ツエーゲン金沢の試合は、なぜキックオフが遅れたのですか? A. 試合当日、カンセキスタジアムとちぎ周辺で大雨と落雷が発生し、安全確保のため観客の避難指示が出されたためです。キックオフは当初予定から約1時間遅れ、20時4分に行われました。1
Q. 2026/27シーズンJ3第1節、栃木SC対ツエーゲン金沢の得点者は? A. 栃木SCは世瀬啓人(11分)、田端琉聖(81分)、永井大士(90+5分)の3人が得点。金沢はブワニカ啓太(5分)、榊原杏太(46分)が得点しました。1
Q. 永井大士選手のゴールはプロ初ゴールですか? A. はい。試合終了間際のアディショナルタイムに決めた決勝点が、永井大士選手にとってプロ初ゴールとなりました。


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