深掘りしたい男シリーズ、第3弾。
第1弾の青木真也、第2弾の榊原信行に続いて、今回取り上げるのは朝倉未来だ。
タイミングとしては、これ以上ないくらいのタイミングだと思う。2026年9月10日、京セラドーム大阪で開催される「超RIZIN.5 浪速の超復活祭り」。そのメインカードで、朝倉未来は青木真也と対峙する。第1弾で取り上げたあの青木真也と、だ。だから今回、朝倉未来の著書『強者の流儀』を読み返しながら、この巡り合わせについても少し考えてみたい。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 強者の流儀 |
| 著者 | 朝倉未来 |
| 出版社 | KADOKAWA |
| 発売日 | 2020年2月27日(単行本)/のちに文庫化 |
| ジャンル | 自己啓発・格闘家エッセイ |
| 章構成 | 全5章 |
目次を並べてみると、この本がただの「格闘家の自伝」ではないことがすぐにわかる。
- 第1章 強者の流儀(そもそも強さとは何か/強い人には余裕がある)
- 第2章 強者の準備(格闘家はどんな日常生活を送るのか/睡眠の取り方)
- 第3章 強者のメンタル(メンタルの強さの根源は”死ぬ覚悟”/”心が折れる”前に休息を取る)
- 第4章 強者のYouTube(なぜYouTubeを始めたか/行けると踏んで即200万円を投資)
- 第5章 強者の人間関係(朝倉未来の恋愛/”武士”のような純情とロマン)
「強さ」から入って、「準備」「メンタル」ときて、そのあとに「YouTube」と「人間関係」が続く。この並びが、実はそのまま朝倉未来という人間の構造を表しているんじゃないかと、僕は思っている。
朝倉未来はうまく時流を読む。そして、常に自分が変わり続ける柔軟性と頭の良さを持っている。
「路上の伝説」から総合格闘家になり、令和最速でトップYouTuberに駆け上がり、いまや実業家としても結果を出している。普通、これだけ肩書きが増えると軸がぶれそうなものだけど、朝倉未来の場合は逆だ。増えるほどに、輪郭がはっきりしてくる。
それができるのは、彼が自分を客観的にとらえる力を持っているからだと思う。本の中でも「客観視するための方法」というテーマにわざわざ一節を割いているくらいで、感情で動いているように見えて、実は誰よりも冷静に自分の立ち位置を計算している。そのうえで、責任を持って、自由に夢へ挑戦する。この「客観」と「自由」の両立こそが、朝倉未来のエッセンスなんだと思う。
第2章「強者の準備」では、格闘家としての日常――練習は量より質であること、苦しいときにどう工夫するか、睡眠のとり方まで、かなり具体的に書かれている。強さというのは才能やセンスの話ではなく、日々の準備の積み重ねだという、わりと地に足のついた話だ。
第4章「強者のYouTube」がおもしろいのは、「いける」と踏んだ瞬間に即200万円を投資したというエピソード。ここに、朝倉未来の意思決定のスピード感が凝縮されている。時流を読む力と、読んだあとに迷わず動く実行力。この二つが揃っているから、格闘技という枠を超えて結果を出し続けられるんだと思う。
第5章「強者の人間関係」では一転して、恋愛観や”武士”のような純情とロマンについて語られる。強者、というと合理性の塊のようなイメージを持たれがちだけど、朝倉未来の場合はどこか古風で、義理人情を大事にする一面が同居している。このアンバランスさが、逆にリアリティを生んでいる気がする。 格闘技――「死んでもいい」という覚悟
ここまで、時流を読む力、客観視する頭の良さ、実行力、人間味――といろいろ書いてきたけれど、朝倉未来の根底、根本にあるのはやはり格闘技だ。
第3章「強者のメンタル」で語られる、このくだりが本書のいちばんの核だと僕は思っている。
本当に死んでもいいと思っているから心の底から開き直れる。けれど、生き残るためにリングに上がっている。
一見矛盾しているようで、実はまったく矛盾していない。「死んでもいい」という覚悟が先にあるからこそ、恐怖に足を止められない。同時に「生き残るため」という現実的な目的があるからこそ、無謀にはならない。捨て身と計算、この両方を同じ体の中に飼っている。だからこそ、朝倉未来には「強者の振る舞い」がよく似合う。強者というのは、力が強い人のことじゃない。開き直れる人と、計算できる人を同時に生きられる人のことなんだと、この本を読んで改めて思わされた。
そして今、まさにそれが試される舞台がやってくる。
2026年9月10日(木)、京セラドーム大阪で開催される「超RIZIN.5 浪速の超復活祭り」。そのメインカードの一つとして、朝倉未来と青木真也の一戦(71.0kg契約)が組まれている。
このシリーズの第1弾で取り上げた青木真也。柔術・寝技を極め、勝ちにいくためならどんな手段も使う、ある意味で朝倉未来とは対照的な「勝負師」だ。第3弾でその朝倉未来を取り上げたら、その相手が青木真也だった――という巡り合わせに、正直、書いていて少し鳥肌が立った。
『強者の流儀』を読んだあとにこのカードを見ると、見え方が変わってくる。朝倉未来にとってこの一戦は、単なる勝敗以上の意味を持つはずだ。「死んでもいい」という覚悟を胸に抱きながら、「生き残るため」にリングに上がる。その哲学が、令和最速でトップに駆け上がった男と、格闘技界を歩き続けてきたベテランの間で、どうぶつかるのか。超RIZIN.5、見逃せない一夜になりそうだ。
Q. 『強者の流儀』はどんな人におすすめ? A. 格闘技ファンはもちろん、YouTuberとしての朝倉未来に興味がある人、自分の生き方や目標との向き合い方に悩んでいる人にもおすすめできる一冊。格闘技をあまり知らない人でも読みやすい構成になっている。
Q. 文庫版と単行本の違いは? A. 文庫版には、その後の実業家としての成功と、二度の苦い敗戦を経て再起した現在の考えや心境を語る描き下ろしが加筆されている。単行本発売時からの朝倉未来の変化も追える一冊になっている。
Q. 超RIZIN.5での朝倉未来 vs 青木真也はいつ、どこで見られる? A. 2026年9月10日(木)、京セラドーム大阪で開催。ABEMAでのPPV配信が予定されている。
朝倉未来の魅力は、時流を読む柔軟性と頭の良さ、そして自分を客観視しながら自由に夢へ挑み続ける姿勢にある。けれどその根底には、「死んでもいい」という覚悟と「生き残るため」という現実的な目的を同時に抱える、格闘家としての強さがある。この二重構造こそが、彼に「強者の振る舞い」を似合わせている理由なんだと、『強者の流儀』を読んで改めて感じた。
超RIZIN.5、朝倉未来 vs 青木真也。この一戦を、この本を片手に見届けたいと思う。
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